静けさを届ける仕事。東京に疲れた人へ“音楽の避難場所”を
静けさを届ける仕事。東京に疲れた人へ“音楽の避難場所”を
僕が音楽を教える仕事を続けている理由のひとつに、
「静けさを届けたい」という思いがあります。
技術の習得や演奏力の向上はもちろん大事です。
でも、その前にもっと大事なものがある気がするんです。
それは、慌ただしい毎日からふっと離れて、
自分の呼吸を取り戻すような時間です。
東京に暮らしていた頃、僕自身も忙しさの中で音楽に救われてきました。
人の多さ、情報の速さ、休む間もなく流れていく日々。
そんな中で、ギターを弾いたり、ウクレレをつま弾いたりする瞬間だけは、
世界の速度が少しだけ緩むように感じたんです。
それは技術を磨く練習というより、
心を整える“避難場所”みたいな役割でした。
だから、今年の末に徳島へ拠点を移すと決めたのも、
単なる生活拠点の変更ではありません。
東京に疲れた人にこそ訪れてほしい、“静けさに戻れる場所”を作りたいからです。
自然のある環境で、情報の洪水から少し距離を置いて、
楽器と向き合うだけで心が軽くなることがある。
それは“逃げ”じゃなく、“回復”の選択です。
音楽は、上達するための訓練だけではありません。
「静けさを取り戻す練習」にもなり得ます。
誰かに聴かせるためじゃなく、拍手をもらうためでもなく。
ただ自分自身の生活を整えるために音楽がある。
そんな在り方を、もっと多くの人に知ってほしいんです。
僕が届けたいのは、派手なステージではなく、
日常に戻れる“音楽の避難場所”。
徳島に拠点を移すその先に、そんな場を少しずつ形にしていきたいと思っています。